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Friday, June 28, 2024

「豆乳より、牛乳」「卵はたくさん食べても問題ない」栄養は食品から摂るべき理由【柴田博×和田秀樹⑥】 - GOETHE

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健康に長生きするには「コレステロールは下げる」のが常識。でも実はこれ、間違いなのです。実証研究に基づく対談は“目から鱗”の連続。日本人の生活を根本から変えてしまうかも。『80歳の壁』著者・和田秀樹が“長生きの真意”に迫る連載。今回の対談者は医学博士・柴田博氏。最終回。

いろいろな種類を食べるのが大事!

和田 柴田先生はやはりお肉もたくさん召し上がりますか?

柴田 もちろんです。自分が言った通りにしかやらない。参考までに、総合的な栄養を摂取するために僕が実践している、1日の食の目安を書きますね。

  • 【動物性食品】①卵1個 ②牛乳200ml ③魚介類60~100g ④肉類60~100g
  • 【植物性食品】①豆腐1/3丁(相当する大豆製品でも可) ②野菜350g ③キノコ類15~20g ④海藻10~20g

和田 やはり、いろいろな種類を食べるのが大事ですね。

柴田 僕らは“食の多様性”を推し進めてきましたからね。

和田 栄養は食品から摂る。

柴田 例えば「豆乳か牛乳か」という質問もされるけど、牛乳じゃないとまずいです。豆乳もいいけど、それは豆腐や納豆を食べたらいい。牛乳の脂肪分や他の成分は、豆乳ではカバーできないんです。

和田 卵もコレステロールが高いからダメだと、控えている人が多いです。

柴田 卵はね、いくら摂っても血中のコレステロールは上がらないことがわかってるんですよ。2個半とか3個ぐらい、あるいはそれ以上食べても、血中コレステロールは一定のところでコントロールされますから。動脈硬化学会も、ついにそれを言うようになりました。安くて良質なタンパク質なのだから、どんどん食べればいいんですよ。

栄養学にもっと光を

和田 長野県が平均寿命を延ばしたのは、地域医療をうまくやったからですよね。

柴田 佐久病院の若月先生が中心となって地域活動を徹底的にやったんです。学生の教育もやって。

和田 だけど自分が偉いと思ってる人たちは、学ぼうとしません。柴田先生がやった実態調査なんて無視して、動物実験で論文を重ねていった人が力を持つ。そういう人が日本の医学界にヘンなモデルを押し付けてると思うんですよ。僕はね。

柴田 栄養学もね、最初は徳島大学の医学部の中に創り、阪大でもやったんだけど、途中で消えちゃった。栄養学は健康との結び付きの中で深まっていくものだから、医学部の中にあるほうがいいんでしょうけどね。

和田 問題は栄養学が、本来のものではなく逆のことをやってることです。メタボ対策とか。

柴田 そうそう。僕らが闘ってる相手ね(笑)。

和田 その中心にいる先生は「メタボはダメ」と言いながら自分は痩せようとしない(笑)。本当は太っているほうがいいとわかっているのだと思います。

柴田 でしょうね。あの人は利口ですからね。

元気を維持する、柴田流ルーティーン

和田 食事以外の日常的なルーティンなどはありますか?

柴田 僕は7月で87歳になるんだけどやはり病気は持っています。脊柱管狭窄症とかね。だから杖代わりに、仕事で出かける日などはキャリーバッグを押して歩く。用事がない日はノルディックストックを両手に持ち家の近所を2000歩ほど歩くようにしています。駅までちょうど1kmで2000歩くらいだから。そうしておけば何かあっても電車までは辿り着けますから。

和田 なるほど。歩くことは大事ですね。

柴田 それからこまめに動くことですかね。僕は学生が集まれるような家を中古で買ったんです。敷地が150坪で家が76坪。30畳の部屋があって、そこに1学年20人ずつ集まってセミナーやカラオケをやる(笑)。表玄関から2階までは25段あるんだけど、2階のトイレしか使わないことにしてるんです。

和田 生活しながら、自然に歩く距離も増えますね。

柴田 1日5000歩ぐらいは歩いてますね。僕は根が怠け者だから、成り行きに任せているとやらなくなる。壮大な計画を立ててもできないんでね(笑)。

和田 無理をせずに続けられることが一番ですね。

柴田 前はジムに通ったこともあったんだけど、週に2日やっても大したことないんだよ。毎日歩くほうがいい。あとは、できるだけ人と交流するようにしてガチャガチャやってます。

和田 ボイストレーニングもされているとか?

柴田 そうそう。もともと音楽好きで歌ってたんだけどね。66歳の時に歯が5,6本抜けて入れ歯にしたのをきっかけに。僕は手先の器用な医者じゃなく喋り専門でしょ。入れ歯で滑舌が悪くなったら商売にならないので、声を鍛え直そうと思ったわけ。以来、個人レッスン20年間続けています。コロナ前は芸大の名誉教授で声楽家のオペラ科の名誉教授に教わってました。

和田 声を出したり、喉を鍛えることはとても大事です。

柴田 僕らの年になると誤嚥(ごえん)で死ぬ人がいますからね。鍛えたおかげで、僕は今でも高いソの音まで声が出ますよ。普通のシューベルトの曲は歌える(笑)。

和田 それはすごい(笑)。声を出すことは認知症にもいい。僕は認知症の人を多数診ていますが、詩吟やカラオケが趣味の人は進まないんですよ。声を出すことは脳にいいみたいです。

柴田 表現すること自体が大事です。お喋りもいいんです。喋る能力が落ちると、社会的な活動能力も減ってしまいます。僕もやらなきゃいけないことがたくさんあるので。お互いね、闘っていきましょうよ(笑)。

和田 はい(笑)。

柴田博/Hiroshi Shibata(左)
医学博士。1937年北海道生まれ。北海道大学医学部卒業。桜美林大学名誉教授。東京都健康長寿医療センター研究所名誉所員。老年学についての研究と教育を一貫して続けている。『長寿の噓』『なにをどれだけ食べたらよいか。』など著書多数。

和田秀樹/Hideki Wada(右)
精神科医。1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業後、同大附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て現職。30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わる。『80歳の壁』『70歳の正解』など著書多数。

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