<第96回選抜高校野球:選考委員会>◇26日
21世紀枠の別海(北海道)は、春夏通じて初の甲子園出場が決まった。町の人口約1万4200人に対して、飼育乳牛が11万3711頭(令和5年末時点)の約8倍と酪農業が盛んな町から、甲子園史上最東端出場校として1勝を目指す。組み合わせ抽選は3月8日に行われる。
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歓声が学校体育館に響き渡った。選考委員会の発表を待った別海ナインは、21世紀枠でのセンバツ出場決定に歓喜の輪をつくった。全校生徒と喜びを分かち合った。別海町出身で主将の中道航太郎捕手(2年)は「町民を勇気づけられるプレーを見せたい」と力強く口にした。
甲子園で生乳生産量日本一を誇る別海町の名をとどろかせる。マネジャー含む部員19人で7人が牛にかかわる家で育った。将来、実家の酪農業を継ごうと考えている部員も2人いる。二塁手の千田涼太(2年)と遊撃手の影山航大(2年)だ。酪農家を目指す二遊間で投手陣を助ける守備を披露する意気込みだ。
千田は両親が別海町内で経営する「千田牧場」で、子牛にミルクをあげるなど、練習の合間を縫って手伝いをしている。酪農家以外の職を目指すか迷っていた時期もあったが「恩返しをしたい」と、今では実家を継ぐ意志を固めつつある。「2人で北海道一の二遊間として甲子園でも活躍したい」と意気込む。
隣接する中標津町出身の影山は、同校の酪農経営科で専門知識を学びながら野球に打ち込む。酪農を学ぶために高校進学先に別海を選択。両親から「できるところまで野球を続けてほしい」と後押しを受けて、学業と野球を両立させる道を選んだ。「甲子園の試合はいろんな人が見るので、いいプレーをしたい」と目を輝かせた。
90年夏甲子園の中標津よりも東に位置し、歴代最東端出場になる。コンビニエンスストア副店長を務める外部指導者で、就任8年目の島影隆啓監督(41)は「全力疾走といった、これぞ高校野球といった別海の野球を見せていきたい」と話した。千田は「牛が多いまちの野球で牛乳をPRしたい」。別海旋風を巻き起こす。【石井翔太】
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