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Sunday, April 2, 2023

島根:<上 飼料高騰>牛乳 搾るほど赤字:地域ニュース : 読売新聞 - 読売新聞オンライン

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 「牛乳を搾れば搾るほど、赤字が膨らんでいく。飼料を輸入に頼っている身としては、打てる手がない」。飯南町下赤名の「ユール・ニッセ牧場」で110頭の乳牛を飼育する清水元さん(43)は、深いため息をつく。

 農林水産省のまとめによると、原料の多くが海外から輸入される配合飼料の価格は、2020年に1トン6万円台で推移していたが、ロシアのウクライナ侵略による穀物価格の急騰などで上昇しており、22年末時点で10万円を超えた。

 清水さんの場合、1頭に必要な配合飼料は1日当たり13~15キロで、全体で計1・5トンほどに上る。飼料代は経営コストの80%と大部分を占め、飼育頭数を15~20頭減らしたものの、3月の飼料代は前年同月比で100万円増となった。

 従業員は妻とアルバイト、外国人実習生の計3人。妻の人件費を削っても、牛舎の維持管理に必要な燃料代や電気代などの高騰と合わせ、ここ半年間は毎月、成牛1頭当たり1万円の赤字が続いている。

 県などによると、昨年1月に80戸あった県内の酪農家は今年3月末現在、71戸に減少。高齢化による後継者不足などで年に数件程度の廃業はあるが、それでも例年の倍近い多さだという。

 JAしまね酪農課の和田賀成課長は「コロナ禍で牛乳の消費量が落ち込み、相対的に生産量が過剰になっている中で、飼料高騰が廃業の追い打ちになった」と話す。

 生乳は、価格について生産者団体と乳業各社が1年ごとに交渉して決める慣習がある。だが急激なコスト増に対応するため、生産者団体の中国生乳販売農業協同組合連合会と各社は昨夏、異例となる年度途中の値上げに合意した。

 上げ幅は、1キロ当たりで10円増。それでも「コストの増加分に届かない」と清水さんは言う。

 国は酪農家への支援として、 補填ほてん 金制度などの対策を講じる。県も飼料代の一部補助や牧草の生産に必要なトラクターなど機材購入費の支援を打ち出しており、担当者は「できる限りのことはしている」とする。

 巨額の初期投資が必要な酪農は、一度廃業すれば容易に再開できない。県内の多くは赤字を増やしながら、嵐が過ぎ去るのを待つことしかできないのが現状だ。子どもの成長にも欠かせない牛乳の生産者をいかに支援していくのか。県は早急に打開策を示す必要がある。(阪悠樹)

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