学校給食は牛乳用紙パックに接することで、プラスチック削減や紙リサイクルの重要性を学ぶ格好の場と時間といえる。年14億本程度が使用される学校牛乳紙パックでは、プラスチック製ストローの廃止が拡大している。
上部を指で押し、引き出すと容易に飲み口ができる日本製紙の紙パック「スクールポップ」はストローレスの先駆け。2021年のひまわり乳業(高知県南国市)を皮切りに九州や首都圏などの1都12県で採用され、22年度は計2億本以上の供給が見込まれている。
これに対し、石塚王子ペーパーパッケージング(兵庫県福崎町)が「エコ・ビーク」で追随し、23年度からの展開を計画中。年14億本分のストローが全廃されれば約700トン分のプラ削減になるとされ、多くの自治体や教育委員会、乳業会社も推進する方向にある。
新容器への転換は、乳業会社が充填機を一部改造すれば済むという。「少ない投資でプラスチックの使用とコストを減らし、教育効果も上げられる」(日本製紙の大林保仁専務執行役員)という。
そもそも紙は森林資源由来で再生に最適な素材。1リットルの牛乳パック6枚から、1本のトイレットペーパーが生み出せる。回収前に飲み切ったパックを「洗って・開いて・乾かす」必要があるが、その循環網がコロナ禍などで一部弱体化した。
「下げ止まったと認識し、コロナ禍収束に伴う回復に期待したい」。21年度の国内全体の紙パック回収率が38・8%で、19年度の41・4%に戻っていないことを全国牛乳容器環境協議会の伊藤忍常務理事はこう説明する。
この3年弱、家庭向けはスーパーマーケットなどの回収箱が一時閉鎖。学校でも回収が低調になり「ピーク時に約8割回収されていたのが、現状は4割弱」(伊藤常務理事)。国内全体の25年度の回収率目標は50%以上とあって原点に立ち返る必要性があるようだ。
嗜好(しこう)の変化で内容物をより良く保存するため、アルミ箔付き、口栓付きといった多種多様なパックが投入されている。これには業界内外から「国内で細分化され“ガラパゴス化”した紙パックが、リサイクルしたい消費者を混乱させていないか」との声が聞かれる。
分別・回収の重要性に関係者は総論賛成だ。凸版印刷の小林勝雄執行役員は「競合他社とも組み仕様統一などを議論する必要もある。ただ経済ベースのウィン・ウィンの考えがないと回らない」と訴える。回収の停滞が、消費者ニーズの捉えすぎが原因と言われないよう対策が求められている。
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