最も身近になったフードテックと言える大豆ミート。業界大手の不二製油は、独自の油脂技術を駆使した新製法で、肉らしい食感の再現性を高めた大豆ミートの本格生産を2022年7月から始める。また、動物性食品由来の「満足感」を作り出すベース素材も開発中。新世代の大豆ミートが世界の植物肉市場を変えていきそうだ。
ごろっとした大ぶりの“肉”が入っているビーフシチューに、からっと揚げられた“鶏肉”の竜田揚げ、しっかりと煮込んだバターチキンカレー・・・・・・。見た目も、食感も、本物の肉そのものだが、いずれも植物性原料100%の大豆ミートを使った料理だ。
大豆ミートはこの数年で市民権を獲得しつつあり、もはや珍しい存在ではない。例えば、LINEが2022年1月に行った調査(サンプル数2108)では、大豆ミートに代表される代替肉の認知率は約84%に達しており、利用率は10%に上る。また、今後の利用意向では約48%の人が「利用してみたい」と回答している。実際、19年秋から大豆ミート商品を精肉売り場で扱い始め、20年春に全店舗に広げたイトーヨーカドーでは毎月の売り上げが伸び続けており、直近は前年に比べて3割伸長しているという。
環境負荷の高い畜産に比べてサステナブル(持続可能)な素材である点、高たんぱくで低脂質・低カロリーという健康メリットが評価されている。ただ、肝心の本物の肉らしさという点では、まだ期待するイメージとは異なるものがあるのも事実だ。大豆ミートを使ったハンバーグにしろ、カルビにしろ、肉そのものよりも、濃い味付けで肉料理としての再現性を追求したかのようなものが多い。
こうした現状から大豆ミートを次のステップに進める新技術を開発したのが、食品素材メーカーの不二製油だ。同社は世界に先駆けて1969年に「粒状大豆たんぱく」を発売した老舗企業。今ではビーフ、ポーク、チキンなど様々な肉の種類、食感、形状を再現可能な約60種類を有し、大豆ミートとしてだけではなく、冷凍食品や肉の加工食品、外食向けに幅広く使われている。この市場では約50%のシェアを握るトップランナーだ。
▼関連記事 「プラントベースド=肉の代用品」の時代は終焉 不二製油の挑戦そんな不二製油が開発した新技術の名称は「プライムテクスチャー製法」。鶏肉で言うならば、従来の大豆ミートが淡泊な「ムネ肉」であるとしたら、新技術ではジューシーな「モモ肉」を再現できるという。一体、何が違うのか。
新製法で分厚い大豆ミートもジューシーに
そもそも大豆ミート自体は、大豆油を絞った後の脱脂大豆を高温・高圧成型し、ひき肉風や薄切り肉風、唐揚げ風など、肉のような組織加工をしたものが一般的だ。これまでも、大豆特有の風味を低減する加工技術や、様々な肉の種類を再現する技術など、進化はしてきた。しかし、唯一大きなハードルとして立ちはだかってきたのが、油脂の配合だ。一般的な大豆ミートに含まれる油分は多くても数パーセント程度という。それ故、本物の肉と食べ比べるとパサつきがちで、口溶けも悪かった。
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