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Tuesday, April 26, 2022

「牛乳」を選ぶとき注目すべきキーワードとは?低温殺菌、ジャージー牛、ノンホモetc - ニフティニュース

tasisuper.blogspot.com

春になり、また“あの問題”が騒がれはじめました。そうです、2021年末に金子原二郎農林水産大臣だけでなく岸田文雄総理までが深刻に呼びかけた「牛乳の大量破棄問題」。

 年末年始に5千トンの生乳が余ってしまう可能性が出てしまい、大量廃棄の恐れがあると騒がれたニュースは記憶に新しいところです。結果としてはさまざまな対策によって問題は回避されたそうですが、ほっとするのも束の間、この春にもまた同様の問題が……。

 春(4〜5月)は生乳の生産量が最大になるため、またしても大量廃棄のリスクが発生しているようです。そこで私は決めました。

「おいしい牛乳探し」をしながら、いつも以上に“家族で牛乳を楽しみながら味わってみよう”ということを。そんなことを考えていたとき、6歳の我が子がつぶやきました。

「甘い牛乳が飲みたいな」

 そうか! おいしい牛乳って、甘いのかもしれません。そんな真相を確かめるべく、この度おいしい牛乳探しをしてみました。みなさまにとって少しでも参考になればと願いつつ、結果をレポートしたいと思います。

※価格は購入時もしくは、販売サイトのもの

◆まずはいわゆる“スタンダードな牛乳”

 最初に飲んでみたのは、ネーミングから印象深い明治の「おいしい牛乳」(450ml・150円)。このタイプは、いわゆるスタンダードな成分無調整の牛乳で、殺菌方法は「高温殺菌」および「超高温殺菌」が大半になっています。

 飲んでみたところ、ネーミングの期待を裏切らない、普通においしい牛乳でした。気になるネガティブな要素はなかったため、これを基準に飲み進めていくことにしましょう。

 ちなみに、このような高温殺菌牛乳においても、風味劣化を抑える製法を開発している商品も出ているので、「加熱殺菌時の酸化劣化を抑える」とうたっているようなものを選ぶのがよさそうです。

◆低温殺菌牛乳は“生乳本来の風味に近い”

 続いて、殺菌方法が異なる「低温殺菌牛乳」を飲むことに。今回はタカナシ乳業の「タカナシ低温殺菌牛乳」(1000ml・300円)を飲んでみました。

 主流の超高温瞬間殺菌が120〜150度で1〜3秒であることに比べ、低温殺菌は65度前後で30分かける手法です。牛乳は高温度で殺菌すると酸化によって硫黄化合物などが生じ、好ましくない臭いにつながってしまいますが、それらをなるべく防ぐことなどを目的として製造されているのが「低温殺菌タイプ」。

 実際に飲んでみると、確かにおいしいものの、「これぞ甘い牛乳だ!」と結論付けるまでにはいかず、個人的には圧倒的な違いは感じませんでした。科学理論としては、ミルクに含まれるたんぱく質の変性が少ないために、“生乳本来の風味に近い”ということは事実でしょう。

 ミルクティが愛されるイギリスにおいて長年本場のミルクティを飲んできたイギリス人料理家が、「ミルクは低温殺菌牛乳を選ぶのがオススメ」と言っていたのを思い出しました。ちなみに、殺菌温度によって栄養価や吸収率は変わることはありません。

◆もう一つのこだわり製法「ノンホモ」は

 大半の牛乳は乳脂肪の「均質処理」がされていますが、「ノンホモ」と呼ばれる牛乳はこの処理がされておらず、絞ったままの状態を生かしたもの。放置すると上部に生クリームの層ができて分離するタイプのことをいいます。

 木次乳業の「木次ノンホモ牛乳」(226円)を飲んでみたところ、意外にもさっぱりした味わいでした。牛乳嫌いの人が指摘する“牛乳臭さ”はなく、後味がよい感じ。

 こちらも「これぞ甘い牛乳だ!」と言い切ることはできませんでしたが、調べてみると、メリットとしてはおなかがゴロゴロしにくく、余分な脂肪を吸収しにくいそうです。

 また、牛乳が苦手な方には飲みやすさを実感できる可能性があるため、ある人にとっては「おいしい、これはアリ」と感じてもらえそうです。

◆牛の種類が違う「ジャージー牛乳」は

 次に、牛の品種を変えてみましょう。一般的な乳牛は白黒模様でおなじみの「ホルスタイン種」ですが、レアな存在(約0.8%)として「ジャージー種」が飼養されています。

 この牛は、イギリス領であるジャージー島産の乳牛で、ホルスタインに比べて小柄であるものの、おいしい牛乳が搾れるそうです。

 蒜山酪農農業協同組合の「蒜山ジャージー牛乳4.2」(500ml・300円)を飲んでみたところ、はっきりと「甘くて濃厚だ!おいしいぞ!」という感動が押し寄せました。成分無調整タイプが乳脂肪分5.0%。数値を見ても一目瞭然です。低温殺菌タイプではなかったものの、独特の臭みなどは感じませんでした。

 値段もお高めですが、甘くておいしい牛乳を探している方には間違いのない一本でしょう。甘い牛乳、発見です!

◆飲むシーンを想定した「パンに合う牛乳」は

 最後は、牛乳に合わせる食材との相性を考えたタイプ。

 一例として「パン」をおいしく食べるために開発されたカネカ食品の「パン好きの牛乳」(200ml・118円)は、あくまでも主役はパン。パンの味わいをより引き立てるために、コクがありながらも後味のすっきり感を目指した商品だそうです。

 飲んでみたところ、“すっきり感”が特徴なのがよくわかりました。おいしさは「甘い」だけに限ったことではなさそうです。シーンに合わせて牛乳を選びたい場合には、期待に応えてくれる存在として知っておくのもアリだなと感じました。

 今回はわかりやすさ重視で、限られたアイテムをご紹介しましたが、産地や濃度などの違いで飲み比べしてみるのも楽しそうです。

 甘い牛乳探し、好みの牛乳探しを楽しんでみると、いつもよりたくさん牛乳を飲めることにつながります。牛からの大切な恵みが無駄にならないことを、心よりお祈りしています。

<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】

食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

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