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Thursday, August 27, 2020

熱中症にならないために、牛乳を飲むべき理由とは - ASCII.jp

Photo:PIXTA

暑い日が続き、連日、日本のどこかで熱中症で亡くなる人が絶えない。コロナなら3密を避け、マスク、手洗いと対策もあるが、熱中症の対策といえば、涼しい部屋から出ない、水分をこまめにとるぐらいしかないから困る。ところが、意外なものが熱中症に効くという。牛乳だ。取材すると、意外な牛乳のすごさがわかった。(サイエンスライター 川口友万)

熱中症に強い
体を作る

 信州大学の能勢博特任教授によれば、牛乳を飲むことが熱中症対策になるのだという。牛乳に関する情報発信を行っている一般社団法人Jミルクの前田浩史専務理事によれば、その研究が発表されたのはおよそ10年前。

「スポーツ医学の専門家である能勢先生はいかにして効率的に筋肉をつけるかという研究をされていたんですね。その中でお年寄りの方の筋肉を維持するためにどうするかというテーマを扱われたんです」

 筋肉が維持できれば血液の循環が良くなり、血液循環が良くなると肝機能が向上する。肝機能の向上により、血液中のアルブミン(水分を保持し、血液中で物質を運搬する成分)が増え、水分が保持されて血液量が増える。その結果、気温の変化などにも対応できるようになる。

「熱中症に対して、対症療法的に水を飲んだり体温を下げたりすることは大事なんですが、それ以前に熱中症に強い体を作らなきゃならないんだという考えがあったわけです」(前田専務理事)

 筋肉量が多ければ熱中症になりにくい。ではどうすれば、年を取った人でも簡単に筋肉を増やすことができるのか?

「インターバル速歩という、早歩き3分+ゆっくり歩き3分を1セットとして、それを1日に5回繰り返すトレーニングを被験者にやってもらいました」(前田専務理事)

 血液循環にはふくらはぎの筋肉がとても重要なので、その筋肉を鍛えようというわけだ。1日トータル30分のトレーニングを週4日続けてもらい、トレーニング後、1時間以内に牛乳を飲むと有意に足の筋肉が増えることがわかった。自転車運動など高い強度の足腰の運動と牛乳の組み合わせなら、同様の効果がある。数カ月で疲れにくく、熱中症にも強い体になる。

 今が暑いのに来年の夏に備えて運動と牛乳ということか?なんだか拍子抜けだと思ったら、「そうではありません」と同次長で農学博士の池上秀二氏。

「スポーツドリンクは水分の吸収は速いのですが、水分やミネラル分が尿としてすぐに外に出てしまいます。ところが牛乳には水分保持機能があるんです。牛乳を飲むと脱水症状を起こしにくい」

 良かった、今年の熱中症にも牛乳は使えるのだ。

牛乳を飲むと
メタボになりにくい?

 牛乳はタンパク質なので、強度の強い運動後に飲めば筋肉がつく。さらにアルブミンの働きで、水分が保持され、熱中症になりにくくする。

 さらに池上氏は「牛乳を食習慣として飲む人はメタボにもなりにくいんですよ」として、次のように話す。

「2020年5月、『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に21カ国約15万人を対象とした大規模な疫学調査の結果が発表されました。その結果、牛乳や乳製品を多くとっている人は全くとっていない人に比べてメタボが少なく、2型糖尿病と高血圧のリスクも低下することがわかったのです」

 牛乳でメタボが減るというのはなぜだろうか。しかも「低脂肪乳と普通の牛乳を飲んでいる人の比較もあって、普通の牛乳の方が効果が高いこともわかりました」(池上氏)というのだ。

 乳脂肪が少ない低脂肪乳の方が太らないはずではないか?

「アメリカでも食事として低脂肪乳が勧められていたんですが、この調査結果では低脂肪乳にはメタボを低下させる効果はなかったというものなんです」

 肉などに含まれる飽和脂肪酸は動脈硬化など生活習慣病に直結する避けるべき油だ。牛乳の乳脂肪分も同じ飽和脂肪酸と考えられているはずだが?

「乳脂肪が単体で働くわけではなく、牛乳にはカルシウムやタンパク質などたくさんの成分が含まれています。そうした成分が一緒に働くことで、乳脂肪だけではわからなかった効果が生まれるのではないかと考えられます」

 牛乳で太らないとは意外だが、果たしてどのくらいの量を飲むといいのだろうか?

「1日2回以上飲む人の方が効果が出ています。1回分の量はおよそコップ1杯200ml前後です」

牛乳を飲むと
腹が緩くなる訳

 しかしその一方で、牛乳は体に悪いと主張する人も少なからずいる。Jミルクではそうした牛乳害毒論にひとつひとつ反証しているが、「牛乳は骨を弱くする」「牛乳でガンになる」「牛乳は腸に炎症を起こす」「牛乳には成長ホルモンが含まれている」など、実に多くの有害説がある。

 それぞれの反証についてはJミルクのWebサイトで『牛乳の気になるウワサをスッキリ解決!』をご覧いただきたい。

 有害説の中でよくあるのが、「牛乳は子牛が飲むもので人間が飲むものではない」というもの。だから人間の消化機能に牛乳は合わず、病気の原因になるという。

 これに対し、前田専務理事は「約1万2000年前に農業が始まり、それからさほどたたないうちに搾乳が行われていたことがわかっています。人類は1万年以上もずっと牛乳を利用してきました」と反論する。

 確かに牛乳が体に悪いのなら、人類はこれほどの長い期間、牛乳を飲むことはなかっただろう。

「日本では奈良時代に中国大陸から伝わって貴族階級が飲んでいたといわれています。本格的に普及したのは明治時代以降です」(前田専務理事)

 仏教的なけがれの考え方などにより、明治時代から牛乳に対する反発はあったそうで、それにマクロビオティックのようなベジタリアン思想が加わったのが現代版の牛乳有害説。

 日本人に牛乳や肉は必要ないという意見を言う人もいる。しかし動物性タンパク質は大事だ。日本人の身長がもっとも低かったのは江戸時代後期で、江戸時代ほど肉食が忌避されていなかった時代はもっと背が高かったといわれる。

 日本人に牛乳は合わないと主張する人の中には、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする乳糖不耐症を挙げる人もいる。日本人に乳糖不耐症が多いのは、牛乳を飲む必要がない証拠だと言うのだ。

「誤解されているのが、日本人は元々牛乳を飲めない民族だからおなかゴロゴロになるというものです。哺乳類はみんな大人になったらおなかゴロゴロになるんです。ミルクは赤ちゃんのものですから、赤ちゃんのミルクを大人が飲み始めたらお母さんは困ってしまいます」(前田専務理事)

 おなかゴロゴロの原因は大人になると乳糖分解酵素のラクターゼが作られなくなるためだ。分解されずに大腸に入った乳糖は浸透圧の関係で大腸の水分吸収を邪魔し、おなかがゴロゴロになる。大人が赤ちゃんのごはんを奪えないように、ラクターゼの生産にはタイマーがついているというわけだ。

「ただしこれは慣れるんですね。乳糖は大腸にすむビフィズス菌などが栄養にして分解できます。大腸に良い菌が増えると乳糖をエサにして分解する。日本人の大腸にはビフィズス菌が多いのですが、これは乳糖をエサにして増えているからだと考えられます」(前田専務理事)

 牛乳を一度にたくさん飲むと菌の分解能力を超えてしまい、ゴロゴロになる。少量ずつ飲んで菌を増やし、徐々に飲めるようにすればいい。要するに慣れなのだ。

「牛乳は動物を殺さずに摂取できる数少ないタンパク源です。サスティナブルな食品として、食生活に生かしてほしいと思います」(前田専務理事)

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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August 28, 2020 at 04:00AM
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