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Friday, March 15, 2024

中国・広東省で親しまれる「牛乳いため」…創作者の発想に驚かされます - au Webポータル

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広州支局 鈴木隆弘 真っ白でとろける口当たりが上品な味を引き立たせる。牛乳をいためてゼリー状にした「炒牛●(牛乳いため)」は、その創作者の発想に驚かされる。※●は左が「女」、右が「乃」

■100年余り前に生まれた「新機軸」

 100年余り前に中国広東省で生まれた。当時は地域で水牛が多く飼われ、多様な乳製品が作られており、新機軸を打ち出した料理だった。同省仏山市順徳区で改良されながら名物として受け継がれ、広東料理の一種である順徳料理の中でも、特色ある一品で知られている。

 順徳区出身の何定文さん(55)は、15歳で料理修業を始め、牛乳料理に腕を振るってきた。6年前に地元で開店させた専門店「定文●凰」でも、炒牛●(48元=約1000円)が人気だ。

■使う牛乳は水牛のもの

 使う牛乳は、やはり水牛のものだ。乳脂肪分が多く、固まりやすいからだという。牛乳に粉ミルク、卵白を混ぜ、ラードをひいた大型の中華鍋に流し込む。中火でゆっくりと鍋を回すと、周辺部分から牛乳が徐々に固まり、へらでゆっくりとかき集めていく。

 事前にいためておいたエビ、焼き豚、ガチョウの肉、ネギなども加えることができる。皿に盛りつけ、塩漬けした卵黄などをかければできあがりだ。いためた牛乳が具材と絡み合い、ほどよい塩気が食欲も誘う。

 何さんは「火加減、混ぜ方が難しい。うまくできるまでに3年かかるよ」と語る。皿を揺らすと、固まった牛乳がゼリーのようにぷるぷると動くようになれば「合格」だという。

 何さんは商品開発にも取り組んでおり、牛乳と粉ミルクを混ぜて皮で包んだ菓子「炸牛●(牛乳揚げ)」も製造、販売する。からっと揚がった皮の中でとろける牛乳に、料理人の美食にかける思いを感じた。

■作り方、創作時から変化

 牛乳いためが創作された当時は、牛乳を煮た後に冷やし、固まった表面の膜を取っていためていた。効率が悪かったことから、1940年代に改良されて現在のような作り方になり、料理も広く親しまれるようになった。

■「素材の味」生かす順徳料理

 広東省広州市は「食は広州にあり」と呼ばれるほどの美食で知られる。現地では「料理人は鳳城(順徳)から出る」とも言われる。同省仏山市順徳区から多くの料理人を輩出してきたためだ。

 順徳区は、自然が豊かで水産資源も多いという好環境に恵まれ、料理が盛んになったという。中国では四川料理などの味付けが濃い料理が多いが、新鮮な食材を使うことができる順徳料理は、素材の味を生かした薄味に特徴がある。淡水魚を刺し身のように薄切りにし、ショウガと一緒に食べる料理もあるほどだ。

 順徳美食博物館では、食材や調理方法、著名な料理人を紹介している。「鶏には鶏の味、魚には魚の味がある」といった順徳料理の考え方や、「全ての人が料理人」といった地元の自負が解説され、多彩な料理の模型も展示されている。

 順徳区には「金榜牛乳文化街」も整備されている。狭い路地の両側に牛乳料理などを出す飲食店や特産品の販売店が並び、「美食の都」を満喫できる場所となっている。

◇ 国内外の総支局長が、地域の自慢の味を紹介します。

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