世界有数の観光地でもあるドバイでは、今でもラクダのミルクが飲まれています。スーパーに並ぶさまざまな種類のラクダミルクを実際に飲んでみると、牛乳とはまるで別物の味わいでした。近年、スーパーフードとしても注目されているラクダのミルクを紹介します。(木村充慶)
ラクダミルクを求めてドバイへ
中東・アラブ首長国連邦(UAE)の都市ドバイは、美しい海や砂浜、巨大ショッピングセンターなどが集まるリゾート地です。
世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」や、上空から見ると椰子の木に見えるような人工島「パーム・ジュメイラ」、巨大なフォトフレームのようなモニュメント「ドバイフレーム」といったスケールの大きな建造物群が至るところで見られます。
そんなドバイですが、実は50年ほど前までは地方にある砂漠の漁村でした。
遊牧民や漁民が集まり、アラビア湾でとれる真珠を売りながら生活をしていたそうです。石油が発掘されてから、一気に街が発展していきました。
世界的な大都会と変容したためはっきりとは分かりづらいものの、遊牧民が存在した名残は色々なところでみられます。
その一つがラクダです。ラクダは、「砂漠の船」として移動の際に人間や荷物を乗せ、アラブの交易の要となった重要な動物でした。
自動車や飛行機の利用が広がり、現在では移動に使われることはほとんどなくなったそうですが、現在でもラクダレースが開催されており、市民に親しまれる大切な存在です。
そのほかにも、ラクダの皮はテント・靴・あたたかい衣類にも使われ、毛はじゅうたんなどに織り込まれて活用されています。
日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、ラクダのミルクもとても人気があります。栄養素が豊富とされ、今でもよく飲まれているそうです。
どこのスーパーでもラクダミルク
都内でミルクスタンドを営む著者は、ラクダのミルクが無性に気になり、仕事の関係でドバイを訪れた際、調べてみました。
スーパーマーケットの牛乳売り場でラクダミルクを見つけました。たくさんの牛のミルクが並んでいる片隅にあったのが、ラクダのミルクです。
10カ所以上のスーパーを巡りましたが、そのほとんどで売っていました。
国際的な都市として発展したドバイの人口は、もともと住んでいた国民が1割、外国から来た人が9割といい、さまざまな人種向けのスーパーがあります。
それでもたいていのスーパーではラクダミルクが置いてあり、ドバイの生活に根づいていることが分かりました。
牛乳よりも感じた「塩味」
では、ラクダミルクの味わいは…? 実際に飲んでみると、牛乳とは全く違いました。
飲みやすくサラッとしているものの、ラクダを思い浮かべるような、やや野生的な匂いが口の中に広がります。ふだん飲んでいる牛乳以上に塩味を感じました。
製品のパッケージの成分表を見てみると、脂肪分が低いことが分かります。
一般的な牛乳は100gあたり3.5%程度ですが、ラクダは2.5gでした。ビタミンC、Dは牛乳と比べると高いようでした。
私が訪れたスーパーマーケットでは、2種類の乳業メーカーのラクダミルクがありました。
どちらもドバイ近郊の牧場、工場で生産、加工されていましたが、ともに味は近しい感じがしました。
上記のように脂肪分が少なく、ビタミン成分が高いこともあり、近年、スーパーフードとして紹介されることもあるラクダミルク。
ラクダの多いオーストラリアをはじめ、アメリカ・スペインでもラクダ牧場が登場し、世界各地でラクダミルクが販売され始めています。
牛乳と比べると野生的な匂いがするため万人受けするかは分かりませんが、牛のミルクとは全く別の飲み物と考えると、日本でもおいしいと思う方もいるのではないかなと感じました。
13日配信予定の後編では、ドバイの牧場で飼育されているラクダのようすを紹介します。
ラクダのミルクはどんな味? 今もドバイで愛されるラクダたち
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