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Sunday, July 30, 2023

ディナー1万5000円の盛岡のステーキ店 コロナ禍サバイバル | 地域で光る小さな会社 | 櫻田弘文 - 毎日新聞

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 新型コロナウイルス感染症の災禍から立ち直りつつある日本経済。大きなダメージを受けた飲食店業界も復調への道を着実に歩き出している。

 しかしコロナ禍でデリバリーやテークアウトが重宝され、人々の外食習慣は変化した。さらにここへ来て原材料費が高騰し、人手不足などの問題も重くのしかかる。いわゆる「ゼロゼロ融資」も返済期に入っており、特に中小飲食店は厳しい状況が続く。

 そんな中、自社の強みを生かしてコロナ禍を乗り切り、復調を果たしている店もある。岩手県のステーキ専門店「和かな」がその一つだ。盛岡市に本店、北上市に支店があり、地元の根強い支持を得る名店だが、感染拡大当初は売り上げ減に苦しんだ。どのように活路を見いだしたのだろうか。3代目社長の坂下大輔さん(49)に話を聞いた。

多くの食通をうならせる人気店

 盛岡市の中心部、盛岡城跡の近くにある「和かな」本店は、古くから食通をうならせる店として知られている。創業は1960年。市内の旅館に開業したお好み焼き屋からスタートし、76年に現在の場所で営業を始めた。

 「平均客単価はランチ2500円、ディナー1万5000円と安くはありませんが、予約は絶えませんでした。誕生日や結婚記念日、会社の祝い事や接待などで利用され、評判を聞いたという旅行者の来店も多くありました」

 一番人気は県内で育てられる「いわて短角和牛」のステーキだ。料理人が客の目の前で調理し、脂肪分が少ないヘルシーな赤身は絶品と評判を呼んでいる。

 いわて短角和牛はその名の通りツノが短く、骨太で筋肉が発達しているのが特徴だ。冬以外は広大な牧草地で放牧するストレスの少ない飼育法と相まって、独特のうまみと肉質を生み出している。だが近年は畜産業者の高齢化などで飼育数が減少。和牛の年間国内流通に占めるシェアは1%ほどしかない。そのため和かなではステーキの安定的な提供のため、牧場と契約して「一頭買い」を続けている。

YouTubeなどで飲食店の取り組みを調べる

 そんなこだわりの名店にもコロナ禍は容赦なく襲いかかった。坂下社長が当時を振り返る。

 「20年春の感染拡大当初から、予約のキャンセルがあるたびに強い不安を感じていました。売り上げは20年6月期決算(19年7月~20年6月)の時点ですでに前年同期比2割減となっています」

 坂下社長は当初から感染防止策を徹底し、何とか店を続けたが、客は感染を恐れ、店内飲食を敬遠した。社員の前では明るく振る舞ったが、危機感に押し潰されそうだったという。しかし何もしなければ売り上げは落ち込むばかり。何か策はないかとYouTubeなどで他の飲食店の取り組みを必死に調べた。

強みを生かして

 もちろん他店とは事情や環境が異なるので、ドンピシャで使えるアイデアは簡単に見つからない。しかし、がんばっている店に共通するのは、自社の強みを生かしていることだった。

 和かなの強みはやはりステーキだ。

 「以前…

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