牛乳石鹸の看板商品「カウブランド」。東西で好みの違いがあるのは本当?(提供=牛乳石鹸共進社)
「改源」「おにぎりせんべい」など全国的に展開している商品でも、なぜか関東・関西を境目に知名度が異なるケースがある。牛のイラストがトレードマークの「牛乳石鹸共進社」(以下、牛乳石鹸)も、「カウブランド 赤箱」「カウブランド 青箱」(以下、赤箱・青箱)と2種類を販売しているが「関東では青箱が人気」「関西では赤箱を使う人が多い」など、東西で違いが出るというウワサがあるようだ。
そこで、東京・大阪のドラッグストアやスーパー、コンビニの計58店に足を運び、地道にチェックしてみることに。すると、東京では36店のうち赤箱が7店、青箱が6店、両方が23店、大阪では22店のうち赤箱が11店、青箱が2店、両方が9店だった。こうやって確認してみると、関東・関西で大差が無いような・・・?
そもそもなぜそんなウワサが出回っているのか。「カウブランド 赤箱 青箱」を製造・販売する「牛乳石鹸共進社」(本社:大阪市城東区)のコーポレートコミュニケーション室・田原有紀さんに、真相を訊いてみた。
■ 口コミをきっかけに人気が急上昇した「赤箱」
──赤箱・青箱に知名度や人気の違いがある、というウワサを耳にしたのですが、そもそも赤箱・青箱ってどんな違いがあるんでしょうか?
赤箱はローズ調の香りでしっとりした洗い上がり、青箱はジャスミン調の香りでさっぱりした洗い上がりとなっています。さらに、赤箱は1個(100g)で100円、青箱は1個(85g)で80円で重量・価格にも
違いがあります(価格は取材時のもの。希望小売価格、税別)。
──同じブランドの石鹸でもそんなに違いがあったんですね。ではその好みが関東・関西の認知度に表れているとか?
よく「関東の方がさっぱり派が多いので、青箱が浸透しているのでは?」といった、質問をいただくことがあるのですが・・・。地域によって使用感の好みが異なるというデータは出ていません。
──洗い上がりの好みというわけでもないんですね。では、なぜ「関西は赤箱、関東は青箱」という風潮があるのでしょうか?
さかのぼること1928年に、牛乳石鹸は赤箱の製造・販売を始めました。弊社は大阪で1909年に創業し、現在も大阪に本社がある関西基盤の企業です。そういった背景もあり、関東では同業他社さまの石鹸が先行して市場が作られており、弊社の石鹸が後発で参入していくのは難しいという状況でした。
牛乳石鹸が全国に進出するにあたり、1949年に元から販売していた赤箱より若干サイズダウンし、手に取りやすい価格の青箱を販売することに。そういった経緯があるため、関東では青箱の方が浸透しているのかもしれません。
──青箱は20年以上後に生まれていたんですね。ただ、実際に店舗を回ってみると関西や関東でそこまで赤箱・青箱の浸透度は違いが無いような気がしました。むしろ、関東でも赤箱をプッシュしている店舗もチラホラ見かけたような。
実は、とある時期から「赤箱を洗顔に使用している」というロコミが自然と広がっていったようで。その結果、2015年にコスメサイトの「洗顔料」カテゴリーで年間べストコスメとして赤箱が選ばれたことがありました。
それまで「石鹸=身体を洗うもの」という認識で、あくまで「日用品」というとらえ方をしていたのですが、その受賞をきっかけにスキンケアの入り口である「コスメ用品」という使い方もあるのだなと気づかせていただきました。
──ユーザーさんからの口コミでスキンケアとしてのニーズも知ったんですね。
ではそんな隠れた需要を、分かりやすくプッシュしていくためにはどうしようかと考え、赤箱が90周年を迎えるにあたり、赤箱を洗顔含め自分に合ったスキンケアとして選んで下さった女性を「赤箱女子」と呼ばせていただきました。
さらに、赤箱の関連商品として「ビューティークリーム(全身用)」を販売し、京都や福岡、オンラインでのイベント『赤箱 AWA−YA』の開催など、スキンケアとしての一面も押し出していくようにしました。こうした取り組みもあり、赤箱も全国区に広がっていったのかもしれませんね。
◇
田原さんいわく、赤箱女子のキャンペーンなどをきっかけに販売店舗の幅も広がったとのこと。今や全国的な知名度を獲得した「赤箱」と、また違った魅力を持つ「青箱」。2つとも手に入れ、お好みで使い分けてみてもいいかもしれない。
取材・文・写真/つちだ四郎
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