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Wednesday, March 9, 2022

牛乳は使わない。大人風味の小松菜ポタージュ - 朝日新聞デジタル

tasisuper.blogspot.com

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんがリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は小松菜を使った緑鮮やかなポタージュ。牛乳を使わず、素材の味を丸ごと楽しみます。

―― 冷水先生、こんにちは。少しずつ日が長くなってきましたね。

冷水 はい、春の気配を感じる日が多くなってきました。

―― とはいえまだ寒い日もありますから、風邪には注意ですね。

冷水 栄養を取って乗り切りましょうね。

―― そうそう、油断したときに体調を崩しがちですものね。

冷水 今日は何を作りましょうか?

―― やっぱり温かいお料理が食べたいですね。あとは過ぎゆく冬の野菜を味わいたい気分です。小松菜とかホウレン草とか、冬が旬で、すごくおいしそうです。

冷水 温かい小松菜料理……。じゃあポタージュなんてどうですか?

―― 小松菜もポタージュにできるんですか!? 作ったことないです。

牛乳は使わない。大人風味の小松菜ポタージュ
パリッと元気な小松菜。今日はスペシャルゲストとしてハマグリさんにも登場してもらいます

冷水 ポタージュにすると緑が鮮やかでとてもきれいですよ。

―― ぜひ食べてみたいです!

冷水 ミキサーがあればポタージュはとっても手軽に作れますので、おすすめです。

―― ポタージュって、響きだけでもうっとりしちゃいます。

冷水 まずは小松菜をざく切りにして、半分にカットしたジャガイモを5mmほどの厚さにスライスしていきます。

―― ジャガイモが加勢するんですね。

冷水 ジャガイモが入ると旨味ととろみが加わるんです。

―― ポタージュってトロトロ感、大事です! 

冷水 スライスしたジャガイモは水にさらします。

―― その心は……?

冷水 ジャガイモにはデンプン質が含まれていて、それがトロッとした食感を出してくれるのですが、水にさらさずに使うとデンプン質が多すぎて、ドロドロしたスープになってしまうんです。今日は少し軽めのとろみにしたいので、水にさらしてデンプン質を程よく落とします。

―― なるほど〜。ジャガイモでトロトロ感を調節するんですね。

牛乳は使わない。大人風味の小松菜ポタージュ
野菜は少しのオイルと水で蒸し煮に。野菜が水に浸っていなくても焦げないのでご安心を

冷水 では具材を煮ていきましょう。鍋に小松菜とジャガイモ、EXVオリーブオイル、水50mlを入れて、強火にかけます。

―― 水は500mlの間違いじゃないですか!? 50mlってめちゃくちゃ少ないですけど……。

冷水 ふふふ、間違いじゃないですよ、50mlです。

―― こんな申し訳程度の水で野菜を煮ることができるんですか? 私はいつも野菜がひたひたになるくらい水を入れて煮ていました。

冷水 あまりたくさん水を入れると野菜が水っぽくなってしまうんです。オイルと少しの水で蒸し煮にすれば、野菜から水分が出てくるので焦げることはないですし、野菜の味が凝縮されて、おいしいポタージュになるんですよ。

―― 本当だ、蓋(ふた)をしてしばらく火にかけたら、さっきより水分が増えています! これが野菜から出た水分なんですね。すごいなぁ……。

冷水 ポタージュは素材の味を丸ごと楽しむ料理ですからね。

―― 煮る際の水の入れ過ぎには注意ですね。

牛乳は使わない。大人風味の小松菜ポタージュ
ミキサーにかけた後はザルでこして小松菜の筋を取り除きます。このひと手間でスープの滑らかさが格段に変わります

冷水 ジャガイモに火が通ったら、ここで水を投入です。

―― 凝縮した野菜の味をお水で伸ばすような感じですね。

冷水 はい、大切なのは水を入れるタイミングです。

―― 心得ました!

冷水 水を入れた後は沸くまで中火、その後は蓋を軽くずらして10分ほど煮てください。

―― そろそろミキサーの出番ですね! ちなみにハンドミキサーでも問題ないでしょうか?

冷水 もちろんです。小松菜は筋が多いので、ミキサーにかけても筋が残ってしまいがちです。少し手間ですが、ミキサーにかけたあと、ザルなどでこして筋を取り除きます。

―― 小さなひと手間が大きな仕上がりの変化につながる。この連載で何度も体験してきたことです。

冷水 まあ、優秀な生徒さん(笑)。

―― しかしながら、なんとも美しいグリーンですね。萌黄(もえぎ)色というのでしょうか……、春の若葉のような緑です。

冷水 今日は牛乳を加えないので、この美しい色を存分に楽しめますよ。

―― えっ!? ポタージュに牛乳を使わないんですか? というか、私はポタージュという料理には牛乳がマストだと思っていました……。

牛乳は使わない。大人風味の小松菜ポタージュ
ハマグリをお皿に中央に盛って、静かにスープを注ぎます。ハマグリに塩気があるので、それを考慮して塩で調えましょう

冷水 そんなことはないですよ〜。どんな味や質感に仕上げたいかによって、牛乳を使ったり、使わなかったり、自由でいいんです。

―― 衝撃でした……。

冷水 今日は旬の小松菜の風味を存分に味わっていただきたいので、牛乳はナシにしました。その代わりと言ってはなんですが、最後にひとつ、具材を加えます。

―― これは……、なんとも立派なハマグリ!

冷水 はい、ちょっと贅沢(ぜいたく)な気分になれるでしょう? スープをザルでこしたあと、お鍋に戻して温めますが、その時にハマグリを加えて軽く煮て仕上げます。

―― 緑の草原でハマグリがお昼寝しているような……、なんだかすごくほのぼのした感じのスープですね(笑)。おもてなしに出したくなるスープです。

冷水 あまり火を入れすぎるとハマグリの身が縮んでしまうので、口が開いたら器に取って、そこにスープを注いでください。熱いうちに、どうぞ召し上がれ。

―― あれ、小松菜の青臭さを全く感じませんね! ジャガイモの自然な甘さが加わって、爽やかさと優しさが同居したようなスープです。牛乳が入っていない分、軽やかな感じがします。大人のポタージュです。

冷水 ハマグリなしでももちろんおいしいので、気軽に作ってみてくださいね。

小松菜のポタージュ

材料(2~3人分)

  • 小松菜

    1束

  • ジャガイモ

    100g

  • 450ml

  • ハマグリ

    200g(3~4個)

  • EXVオリーブオイル

    適量

  • 適量

  • 小松菜はざく切りにする。ジャガイモは皮をむいて半分に切ってから厚さ5mmにスライスして水にさらす。
  • 鍋に小松菜とジャガイモ、EXVオリーブオイルを少々と水50mlを入れ、強火にかける。沸いたら蓋をして、弱火でジャガイモに火が通るまで煮る。
  • 2.に水400mlを加え、中火にする。沸いたら蓋を軽くずらして10分ほど煮てからミキサーにかける。ザルでこしたあと鍋に戻して火にかけ、ハマグリを加えて軽く煮る。
  • 塩で味を調え、器に盛る。

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