Pages

Sunday, November 28, 2021

松江の人気ステーキ店が閉店を決意 40年の「恩返し」で続ける粋なサービスとは… きょうは「いい肉の日」(Sデジオリジナル記事) - 山陰中央新報

tasisuper.blogspot.com
シャトーブリアンのステーキ(5,500円)=松江市東朝日町、ミスタービーフ

シャトーブリアンのステーキ(5,500円)=松江市東朝日町、ミスタービーフ

 11月29日は「いい肉の日」ー。松江市の人気ステーキ店「ミスタービーフ」(同市東朝日町)が閉店を決め、牛肉の最高級部位・シャトーブリアンのステーキを「原価テロ」と称し手頃な価格で提供するサービスを1年以上続けている。店には県内外、さらには国外から多くのファンが足を運ぶ。多くの人に愛されながらも、閉店を決意したのはなぜか。最高級部位を手頃な価格で提供する理由とは。店に行き、話を聞いた。(Sデジ編集部・宍道香穂)

▷「最高級肉の提供を」 和牛へのこだわり
 ミスタービーフは店主の奥田哲也さん(63)が1981年に創業し、今年で40周年を迎えた。最高級肉の提供にこだわり、メスの未経産牛(出産を経験していない雌牛)のみを使用する。繊維が細くやわらかいのが特徴という。「和牛のおいしさを感じてほしい」との思いは強く、国産A5ランクを提供している。 

 開店当時は、島根県産の和牛・第7糸桜号が全国和牛能力共進会で優等賞上位に入賞し、知名度が上昇していたことを受け「島根が和牛の聖地だと知ってもらいたい」との思いが芽生えたという。

店内には著名人のサインがびっしりと貼ってある

 品質にこだわったステーキが評判を呼び、政治、経済、芸能など各界の重鎮が店を訪れるようになった。芸能界随一の肉好きとして知られるお笑い芸人・寺門ジモンさんが一押しの肉を紹介する「肉カレンダー」(2016年版)にも掲載された。東京から訪れる常連客らに勧められて2011年、東京・銀座に松江店に次ぐ、2号店を出店した。

ミスタービーフが掲載された「肉カレンダー」を持つオーナー・奥田義正さん(90)

 銀座店は奥田さんが、松江店はオーナーである父・義正さん(90)が営んでいたが、義正さんが高齢になり松江店の営業継続が困難になった。建物の老朽化もあり、松江店の閉店を決めたが、「お世話になった人に恩返しをしたい」という義正さんの思いを受け、奥田さんが、コロナ禍の東京から一時的に帰郷。昨年9月から再び松江店の厨房に立った。

店主の奥田哲也さん(63)

▷お世話になった人に恩返しを
 40年にわたり営業を続けられたことへの「恩返し」は豪快だった。これまで11,000円で提供していたシャトーブリアンを半額の5,500円に。「原価テロ」と名付けたこのサービスは好評で、閉店を惜しむ常連客が次々と訪れ、名残惜しそうに高級肉を味わっていった。当初は昨年末までで終え、奥田さんんは東京に帰る予定だったのだが…。

 東京へ戻ろうとした2021年1月、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、緊急事態宣言が再発令された。奥田さんは東京に戻れず、その後も夏に感染が再拡大したため、結果的に松江店でのサービスを1年以上続けることに。奥田さんは「お客様からは“やめるやめる詐欺”と言われています」と笑う。

 銀座店の客の中には「いつ戻ってくるの」と営業再開を待ちわびる人も多く、奥田さんは「待ってくれている人がいるうちは華だから、早く営業を再開したい」と話す。松江の店舗は売却先を探していて、決まれば閉店するつもりだという。

店の外観=松江市東朝日町、ミスタービーフ

 閉店の時期は未定だが、12月いっぱいは営業する予定とのこと。ヒレ肉の中央にある最高級部位、シャトーブリアンのステーキは食べたことがない。ボーナス前ということもあり、ぜひ味わってみたいと思い切って注文した。従来は200~250グラムで注文する人が多いとのことだが、半額サービスを始めてからは「より多くの人に提供するために」と、1人100グラムとしている。

 席に着き、シャトーブリアン100グラム(ライスまたはパン、サラダ、デザート、ドリンク付き)とビーフコンソメスープを注文。ビーフコンソメスープには5センチ角ほどのやわらかい牛肉が入り、温かいスープにうま味がよく溶け込んでいた。

分厚いシャトーブリアンが焼かれるのを見守る

 シャトーブリアンの焼き加減は、お薦めのミディアムレアにしてもらった。鉄板に乗ったステーキが運ばれ、好みでソースか藻塩をつけるよう伝えられる。一口大に切り、まずは藻塩をつけて食べる。ほとんどかまなくても食べられるような柔らかさ、口の中にうま味や甘みが広がる。これがシャトーブリアンか。日ごろ食べている牛肉との違いに驚いた。

シャトーブリアンのステーキ(5,500円)

 タマネギ入りのオリジナルソースもよく合う。ゆっくりと味わって食べようと思っていたのに、あっという間に食べてしまった。焼き肉やステーキを食べた後は、つい食べ過ぎることもあって、胃もたれすることがあるが、シャトーブリアンは脂っこさがないためか胃もたれすることもなかった。

 営業時間はランチが午前11時~午後1時、ディナ―が午後5時~午後8時。定休日はないが、肉の在庫次第で休業する日もあるという。取材を終え、「最高級の肉を、より多くの人に」と、品質面・サービス面ともに妥協を許さない情熱を感じた。松江店の閉店までに、もう一度足を運びたい。
 

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 松江の人気ステーキ店が閉店を決意 40年の「恩返し」で続ける粋なサービスとは… きょうは「いい肉の日」(Sデジオリジナル記事) - 山陰中央新報 )
https://ift.tt/3revZRd

No comments:

Post a Comment