
外来でのことです。「保育園の栄養士さんから、『牛乳で便秘になるなんて聞いたことがないから、病院で確認してきてください』と言われたんですけど……」と、あるお母さんから相談されました。 アレルギーと言うと、呼吸困難や発疹が出現して急激にショック状態になる「アナフィラキシー」ばかりが注目されがちですが、アナフィラキシーを起こさないアレルギーもあります。その一つが、主に乳児~幼児期早期にみられる牛乳アレルギーによる便秘です。質問してきたお母さんも子供が牛乳アレルギーによる便秘のために私の専門外来に受診していました。 牛乳アレルギーによる便秘は、ヨーロッパ小児栄養消化器肝臓学会/北米小児栄養消化器肝臓学会および日本小児栄養消化器肝臓学会/日本小児消化管機能研究会が発表した国内外の小児慢性便秘症診療ガイドラインにも記載されている疾患です。 典型的には完全母乳栄養だった赤ちゃんが、人工乳を開始したタイミングで便が出にくくなり、お腹が張ってくるようになります。ときに嘔吐がみられることもあります。浣腸しないと自力排便がないという赤ちゃんもいます。 生後すぐより、人工乳が与えられていた赤ちゃんでは「生まれてからずっと自力排便がない」という訴えで外来受診をすることもあります。発疹や呼吸困難など、いわゆる“アレルギー”らしい症状は全くみられないので、アレルギーだと気付かれないことも少なくありません。 私が初めて経験した牛乳アレルギーによる便秘の子供は最初、上司の外来を受診、上司はヒルシュスプルング病という手術が必要な病気を疑い、小児外科へ紹介しました。 しかし、小児外科ではヒルシュスプルング病ではないとの診断で再び上司の外来に戻ってきましたが、刺激性下剤を使用しないと排便がありませんでした。相談を受けた私が牛乳アレルギーを疑い、牛乳乳製品を完全に除去して、与えないようにしたところ、下剤なしでも自力で排便ができるようになりました。 牛乳アレルギーによる便秘の診断方法は、2~4週間、牛乳乳製品を完全に除去した食事を与えます。ミルクはアレルギー用ミルクへ変更します。牛乳乳製品完全除去により便が出るようになったら、今度は牛乳乳製品を摂取する普通の食事に戻すと、また、排便間隔が開いてしまう。再び牛乳乳製品を除去すると、普通に排便するようになるということを確認します。 人工乳を与えている赤ちゃんが便秘で困っている場合には、小児科医への受診を勧めてください。 (そごう・つよし 済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科副部長)
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