新型コロナウイルスの感染拡大に伴う小、中学校の休校で、学校給食で提供されてきた牛乳の流通が滞り、県内の関連企業が打撃を受けている。学校以外でも、出荷先の飲食店や旅館が休業するなど感染症の影響は広範囲に及び、「影響は業界全体に波及する」と指摘する声が上がる。
「学校給食がストップした影響は大きい」
県内の学校に給食用牛乳の約半数を出荷している酪王乳業（郡山市）の鈴木伸洋専務（６１）は内情を明かす。
同社は通常、１日１５トン、２００ミリリットルパック７万本分を学校に供給しているが、給食が停止したことで３、４月の売上高は前年同期比で約１億円減少した。
生乳の取引価格は用途別で異なり、学校給食用が最も高い。酪農家が毎日搾る生乳を給食用にできなければ一般消費者用や、バターやチーズなどの加工用に回すことになるが、その分、酪農家の収入も減る。
鈴木専務は「工場に加工用の設備がないので、牛乳の需要が減れば（酪農家からの）生乳の供給もキャンセルせざるを得ない。影響は業界全体に波及する」と厳しい見通しを示す。
◆加工工場「この状況では...」
県酪農業協同組合によると、学校給食用の牛乳販売量は、昨年４月に県内だけで約３７０トンに上ったが、今年は休校の影響で激減。出荷先だった飲食店やホテル、旅館などの休業も痛手で、家庭の「巣ごもり消費」で需要が伸びている家庭向けも販売量は限られるという。
担当者は「（生乳を加工する）工場の能力も限界に近づく。６月上旬ごろまで生産量のピークは続くが、この状況では処理しきれなくなる」と先を見通す。
「毎日牛乳をもう（モ～）１杯。育ち盛りは、もう（モ～）１パック」
業界全体の危機を受け、農林水産省は牛乳やヨーグルトを普段より１本多く消費することを目指す「プラスワンプロジェクト」を新たに始めた。職員が牛の着ぐるみ姿で登場するユニークな動画も話題になっている。担当者は「牛は毎日乳を搾らなければ病気になる。プロジェクトに協力してほしい」と呼び掛けている。
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May 31, 2020 at 08:34AM
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余る牛乳、県内の業界に打撃 学校休校や飲食・旅館の休業 - 福島民友
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