「ID決済」がオンラインショップやアプリ、実店舗などにおいて急速に普及し始めている。ID決済とは、国内外で多数の会員を保有する大手サービス、プラットフォームの会員IDに紐づくクレジットカード情報やポイント、チャージ金額などをもとに支払いすることが可能な決済手段だ。煩雑な都度の情報入力を必要とせず、利便性の非常に高いサービスといえる。また、政府がキャッシュレス決済の普及を後押ししているほか、決済各社がポイント還元を積極的に行っていることもあり、ID決済を使う消費者が増えている。
こうした中、本格的なステーキを立ち食いスタイルで提供するステーキチェーン「いきなり!ステーキ」が2019年10月、独自の電子マネー「肉マネー」のチャージ手段として、アップルのID決済サービス「Apple Pay」を会員アプリに導入した。数タップで簡単にチャージが完了するApple Payを決済手段に加えることで、チャージのハードルを下げ、「肉マネー」の利用を促進するのが狙いだ。実際、導入2カ月目にはApple Payの月間利用件数が数千件に達し、チャージ総額の底上げにつながっているという。
Apple Payを導入した経緯や、導入後の成果について、「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスの冨田氏と、Apple Payの導入を支援した決済代行会社ベリトランスの三浦氏に話を聞いた。
「ApplePay」とはどんな決済手段?
──本日は、「いきなり!ステーキ」の会員アプリにApple Payを導入した経緯と、導入後の成果を伺います。本題に入る前にApple Payとはどのような決済サービスなのか、あらためて三浦さんから解説していただけますか?
ベリトランス株式会社 三浦辰郎氏(以下、三浦氏):Apple Payは米国のアップルが提供しているID決済サービスです。Apple IDにクレジットカードやSuicaなどの情報を登録しておくとECサイトならワンタッチで、実店舗ならiPhoneやApple Watchをかざすだけで支払いが完了します。
オンラインで支払いを行う際は、Apple IDに紐づくクレジットカード番号や名前、住所、電話番号、Eメールなどの情報を元に決済するため、ユーザーは決済時にカード番号などを入力する必要がありません。そのため、ECサイトやアプリの決済におけるユーザーインタフェース(UI)が改善され、コンバージョン率の向上が期待できます。
また、カード番号は暗号化され、端末内にもECサイト側にも保存されないので、決済したECサイトからカード番号が流出する心配もありません。iPhoneなどの端末に備わっている指紋認証機能「Touch ID」や顔認証機能「Face ID」を使って本人確認を行えるので、なりすましによる不正利用も発生にしにくい。このように、Apple Payは便利で、セキュアな決済手段であることが特徴です。
アプリ決済のUIを改善し、CVRを高めるためにApplePayを導入
──ペッパーフードサービスでは、なぜ電子マネーのチャージ手段としてApple Payを会員アプリに導入したのでしょうか?
株式会社ペッパーフードサービス 冨田拓也氏(以下、冨田氏):プリペイド式の電子マネー「肉マネー」を、より多くのお客様に使っていただくために、簡単にチャージできるApple Payを決済手段に追加しました。
「肉マネー」は、店舗で支払いに使える電子マネーです。アプリ上でバーコードを表示し、レジで提示すると、現金を使わずに支払いが完了します。プリペイド式でチャージ額の上限は5万円。チャージ金額に応じて1~3%相当の「肉マネー」を付与するチャージボーナス(チャージ額に応じた還元)もあります。
冨田氏:2019年9月まで、アプリで「肉マネー」をチャージする方法はクレジットカードだけでした。クレジットカードでチャージする場合、カード番号やセキュリティーコードなどを毎回入力しなくてはいけません。そのため、入力作業を面倒だと感じて「肉マネー」の利用を控えるお客様がいるのではないかと懸念していたんです。
先ほど三浦さんがおっしゃったように、Apple Payは便利で安全な決済手段です。それをアプリに追加することで決済のUIを改善し、それに伴うコンバージョン率の向上を期待したかったというのが導入の理由です。
ちなみに、「肉マネー」はプラスチックの会員カード「肉マイレージカード」でもご利用いただけます。プラスチックカードは店頭で、現金やクレジットカードなどでチャージできます。
──三浦さんに伺いたいのですが、オンライン決済において、クレジットカードよりも簡単に決済を行えるという理由でApple Payを導入する企業は多いのでしょうか?
三浦氏:そういったお客様も増えています。先ほどもお話しした通り、Apple Payは決済時にカード情報を入力しないため、ユーザーは決済画面で離脱しにくいと言われています。
アップルが発表している情報によると、通常のECサイトでは商品をカートに入れてから購入するまでに、約10個のスクリーンを遷移し、100回以上もタップすると言われています。一方、Apple Payなら最短で2つのスクリーン、2タップで決済が完了します。UIの違いは一目瞭然でしょう。
Apple Payがチャージ総額の底上げに貢献、「少額チャージの潜在ニーズも掘り起こせた」
──Apple PayをECサイトやアプリなどに導入することでコンバージョン率の向上が期待できるのは、EC事業者さんやアプリ事業者さんにとって大きなメリットですね。ペッパーフードサービスでは、「いきなり!ステーキ」のアプリにApple Payを導入したことで何か成果は表れていますか?
冨田氏:ApplePayを導入したことで、「肉マネー」のチャージ総額の底上げにつながっています。
Apple Payを導入して2カ月目の2019年11月時点で、Apple Payの月間利用実績は数千件に上り、アプリ経由のチャージにおけるApple Payの利用割合は約20%でした。クレジットカードを使ったチャージに上乗せされる形で、Apple Payによるチャージが増えている印象です。
また、Apple Payを導入したことで、少額のチャージを行うお客様が増えました。
クレジットカードでチャージする場合、最低金額は3,000円ですが、Apple Payでは1,000円単位でチャージできます。チャージ金額が1,000円では「肉マイル」のチャージボーナスが付かないのですが、それでもチャージするお客様は少なくありません。
おそらく、1,000円単位でチャージしたいという潜在的なニーズが以前からあって、そのニーズをApple Payによって掘り起こすことができたのでしょう。そのことも、チャージ総額の底上げにつながった一因だと思います。
三浦氏:「肉マネー」の残金が1,000円以下になったときに、1回分の食事代として1,000円をチャージするお客様がいらっしゃるのかもしれませんね。
冨田氏:「肉マネー」の利用者は比較的ヘビーユーザーの方が多いのですが、少額でチャージできるようになったことで、ライトユーザーの方も「肉マネー」を利用しやすくなりました。こうした点も含めて、Apple Payを導入したことで「肉マネー」をより多くのお客様にお使いいただけるようになったと思います。
ベリトランスと組んだ理由は「ApplePayの実績」と「手数料」
──Apple Payを取り扱っている決済代行会社はいくつかある中で、ペッパーフードサービスがベリトランスを選んだ理由を教えてください。
冨田氏:理由は主に3つあります。
1つ目は、ベリトランスはApple Payの導入実績が豊富であること。ベリトランスはApple Payが国内で利用可能となった当初から、取扱事業者としてサービスを提供していらっしゃって、導入実績も多いと伺いました。決済の導入と運用は失敗が許されませんから、ベリトランスの実績を重視しました。
2つ目の理由は、他の決済代行会社と比べて最適な決済手数料を提示いただけたことです。「肉マネー」のチャージ総額は毎月かなりの金額になりますから、わずかな決済手数料の違いでも弊社の収益に与えるインパクトは小さくありません。
そして3つ目の理由は、「いきなり!ステーキアプリ」の開発をお任せしているベンダーとベリトランスが協力関係にあり、Apple Payを実装するための開発がスムーズに進むという点でした。アプリ側と決済側の開発ベンダーがしっかり連携できていれば、失敗する確率は下がりますし、開発期間を短縮することもできます。ですから、ベンダー同士の相性も重視しました。
三浦氏:弊社は、国内で最初にApple Payを取り扱った決済代行会社のうちの1社です。そういった実績を含めてペッパーフードサービス様にご評価いただけたのは嬉しいです。
──三浦さんに伺いたいのですが、現在、Apple Payはどのような事業者が導入しているのでしょうか?
三浦氏:これまでは飲食店や小売店など主に実店舗に導入するケースが多かったのですが、最近はECサイトでの決済や、「いきなり!ステーキ」さんのようにアプリへのチャージに使われるケースも増えています。
近年さまざまなID決済が登場していますが、Apple Payの強みは何と言ってもiPhoneの普及率の高さにあります。日本のスマホ市場におけるiPhoneのシェアは非常に高く、膨大な数のiPhoneユーザーがいるため、Apple Payは有望な決済手段であると認識している事業者様は多いです。
決済の導入コストと開発工数を「VeriTrans4G」で削減する
──近年、さまざまな決済手段が登場し、消費者が使う支払いの手段も多様化しています。そういったトレンドを踏まえると、決済手段を増やすことは消費者の利便性向上に直結します。「いきなり!ステーキ」のように、決済手段を増やすことでチャージや売り上げの底上げにつながるケースも増えていくと思います。
一方で、さまざまなID決済が登場し、クレジットカード決済や代引きなども含めて決済手段が多様化したことで、決済端末や決済システムを導入する事業者側のコスト負担が課題になってきました。ベリトランスは、こうした課題に対する解決策を何かお持ちでしょうか?
三浦氏:そういった課題を解決するために、弊社では、複数の決済サービスをまとめて導入できるマルチ決済ソリューション「VeriTrans4G」を提供しています。クレジットカードやコンビニ決済、銀行決済、電子マネー、キャリア決済、ID決済、後払いなど多様な決済手段の中から、好きな決済をモジュールのように組み合わせて導入することができます。
決済手段をばらばらに導入する必要がないため開発工数や導入コストを削減でき、運用の手間も軽くなります。実店舗でもECサイトでも利用することが可能です。
──複数の決済をまとめて導入できるのは、事業者様にとって便利ですね。
三浦氏:弊社は決済ソリューションの提供を通じてお客様の業績拡大に貢献したいと思いっています。決済のラインナップを増やせば売上拡大につながりやすいものの、導入時の開発コストや運用の手間が課題となり導入に踏み切れない事業者さまは少なくありません。
弊社は「VeriTrans4G」を通じて、事業者さまが決済のラインナップを増やしやすい環境をご提供します。
決済の導入だけで終わらない。ベリトランスは顧客の業績拡大までサポート
──ベリトランスは「業績拡大を支援する」という視点で決済サービスを提供しているのですね。
三浦氏:はい。お客様の業績が伸びれば、弊社も一緒に収益を伸ばすことができますから、二人三脚でお客様の事業の成長をサポートしていくというのが弊社のスタンスです。
お客様の業績拡大を後押しするために、グループ会社と連携しながら、販売促進やデジタルマーケティングの領域もサポートしています。例えば、ECサイトのユーザーさんの動きをリアルタイムで把握し、サイトから離脱しそうなタイミングでクーポンを自動的にポップアップ表示するソリューションをご紹介するなど、売上改善の具体的な施策をご提案することもあります。
冨田氏:販促のアイデアをいただけるというのは、非常にありがたいですね。今度ぜひ話を聞かせてください。
三浦氏:ぜひ提案させてください。一緒に事業を成長させていきましょう。
"ステーキ" - Google ニュース
January 22, 2020 at 05:00AM
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決済のUIを改善!「いきなり!ステーキ」がアプリにApple Payを導入した理由と、その成果とは? - ECのミカタ
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