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Wednesday, October 19, 2022

英国全土で10代の若者たちが「破壊的」な酪農業に抗議するためスーパーで牛乳をぶちまける - Esquire(エスクァイア 日本版)

tasisuper.blogspot.com
animal rebellion

Courtesy of AnimalRebellion via Instagram

このところ、英国における環境活動家の抗議は過激化しているようです。

まずは2022年3月のこと、英国のスポーツ専門チャンネル「Sky Sports」をはじめ各メディアは、エバートンFCの本拠地であるリバプールにあるグディソン・パークで行われたサッカープレミアリーグ第20節延期分エバートンFC対ニューカッスル・ユナイテッドFC戦にて、ピッチに侵入した男性がポストに自らの身体を結びつけて試合が中断するという前代未聞のハプニングが起きたと報じています。

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その男性は「JUST STOP OIL」と書かれたTシャツを着用しており、政府の化石燃料プロジェクトに対する抗議のためにピッチに侵入したということ。

その後、同じく環境活動家グループ「Just Stop Oil(ジャスト・ストップ・オイル)」のメンバーは、ロンドン・ナショナル・ギャラリーやグラスゴーのケルヴィングローブ美術館・博物館など、英国各地の美術館で名画の額縁に自分たちの手を接着剤で貼り付けるという直接行動に出ています。

2022年6月30日に公開された英国タブロイド紙のウェブ版「Daily Mail」には、文化施設サマセット・ハウス(Somerset House)にあるコートールド美術館で同館所蔵のゴッホ・コレクションの一つ、1889年製作の『花咲く桃の木々(Peach Trees in Blossom)』に再び環境活動家グループ「ジャスト・ストップ・オイル」のメンバー2名が自らの手を貼りつけるという直接行動に出たという記事が掲載されました。

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「ジャスト・ストップ・オイル」がネット上に投稿した動画には、手を額縁に接着したルイ・マケックニー(Louis McKechnie)さん(21)が来館者らに向かって、「こんなことしたくない」と訴える様子が映っています。前述のエバートンFC対ニューカッスル・ユナイテッドFC戦の試合中のピッチに侵入したのもマケックニーさんです。

さらに10月になると…まずは14日、ロンドンのトラファルガー広場に位置する美術館のナショナル・ギャラリーで、これまたゴッホの絵画『ひまわり』にトマトスープをぶちまけるという事件が…。

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これも「ジャスト・ストップ・オイル」に所属する20歳と21歳の女性によるもので、ロンドン警視庁によって器物損壊などの疑いで逮捕されましたが、肝心の絵画は額縁にわずかの損傷があったものの、ガラスで覆われていたため無事だったとニュースサイト「Sky News」は報じています。


そうして10月15日には…、その直接行動の対象は絵画から生活用品へと様変わりします。それは、販売している牛乳を食料品店の床に流し捨てること。こちらが現在の環境活動家の直接行動の最新トレンドとなっているようなのです。

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いまや英国全土で、環境を気に掛けるティーンエイジャーたちがこの「牛乳ぶちまけ(dumping milk)」を行なっていると「New York Post」ほか各メディアが伝えています。

動物愛護団体「Animal Rebellion(アニマル・リベリオン)」は15日に、ロンドンにあるフォートナム・アンド・メイソンやハロッズ、ホールフーズなどの食料品店売り場で、商品棚から取った牛乳を床や商品棚に次々と注ぐ動画をツイッターに投稿。

これはプラントベースフード(植物由来の食品)に移行するため、政府に農場主を支援するよう訴えるもので、ソーシャルメディアに現れた動画にはティーンエイジャーたちが牛乳を店内の床やカウンターなど店内のさまざまな場所に注ぎ流しているところが写し出されています。

「世界トップ5の畜肉及び乳製品企業は、石油企業よりも温室効果ガスを排出している」

「アニマル・リベリオン」は前述のツイートで、「酪農業は信じられないほど環境を破壊します。今や世界トップ5の畜肉及び乳製品企業はエクソン・モービルやシェル、BP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)よりも多くの温室効果ガスを排出していることに責任を持つべきです。私たちにはプラント・ベースの未来が必要なのです」とつづっています。

さらに国際非営利団体である「GRAIN(グレイン)」と「Institute for Agriculture and Trade Policy (IATP=インスティテュート・フォー・アグリカルチャー・アンド・トレード・ポリシー)」と報告書を共有し、肉と乳製品の消費を止めることで地球の「温室効果ガスの排出を劇的に減らす」ことを呼びかけています。

この「アニマル・リベリオン」による「牛乳ぶちまけ」は2022年10月15日に、ロンドンばかりでなく、マンチェスターやノリッチ、エディンバラを含む8カ所でも行われたと伝えています。 

アニマル・リベリオン
「牛乳ぶちまけ」に先立ち2022年9月には、英国国会議事堂に白いペイントをかける抗議行動が実施されました。2922年9月7日撮影。

Future PublishingGetty Images

同団体は、「畜産業は野生動物と生態系の喪失をもたらす最大の原因である」と別のツイートで述べ、また政府に対して植物由来の食糧システムへの早急な移行で農家を支援し、解放された土地で野生動物の個体数を回復させ野生へと向かわせるよう呼びかけています。

現在、世界のいくつかの国では酪農業における窒素の排出を制限するなど、農業業界全体に規制を設けています。環境活動家らは乳製品の代用品、つまりアーモンドミルク、豆乳、ココナッツミルク、オートミルクを使うように促しています。ですが、こういった行為は、代替ミルクの生産過程でもまた環境破壊が行われているといった調査結果、動物性ミルクほど十分な栄養素を得られないといったデータが別の環境団体から報告されていることもあり、決して全面的に賛同を得ているというわけでもありません。

いずれにせよ必要な農業改革

一方の米国では…バイデン政権は気候変動に取り組むため、米国の農産業に変革を迫る意向を示しています。

2020年には、米国のEPA(環境保護庁)が米国の温室効果ガス総排出量のうち11%が農業部門から排出されており、運輸部門が27%、エネルギー部門が25%、そして24%が工業部門からのものだと概算していることを前述の「NewYork Post」同記事、および「FoxNew」は伝えています。 


Esquire日本版編集長のコメント

こうした直接行動は実に勇敢で、心動かされるものではあります。ですが、必ずしも好意的に受け取られるものではありませんし、こうした行動が余計に環境問題に取り組むことをマイナスイメージすることにもつながる可能性もあると思えます。

ですが、このように行動する若者たちは、気候変動における現段階に状況をいわば自分たちの頭に突きつけられた銃口のように感じているに違いありません。そして、それも否定できないのです。そんな彼ら彼女らにとってはもはや、失うものは何もないと感じているのでしょう…。

アメリカの公民権運動とも類似点があるように、社会には目の前にある複雑な倫理的問題を受け入れ難く思う人たちが常に存在します。そんな中、「国家に立ち向かうことも必要なのかもしれない」と、ぬるま湯の日本に暮らすわれわれも考えさせられる出来事ではないでしょうか。

彼ら彼女ら自身もこの行動を起こしたことで、暴力を受けたり誹謗中傷されたり、嫌われたりする可能性があることも十分覚悟しているはずです。それでも真実を伝え、気候変動の問題が重要であると行動で示すこと行為をすべて否定することはできません。むしろ尊い行為ではと思うことも…複雑な思いにさせられる出来事でした。

そして環境問題改善にため、また新たな一歩を探し、そして歩んでいかなければと誓うのでした。

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