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Tuesday, January 26, 2021

AMD,ノートPC向け「Ryzen 5000」シリーズの詳細を明らかに。処理性能と消費電力の改善でゲームノートPCへの採用が拡大 - 4Gamer.net

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画像集#002のサムネイル/AMD,ノートPC向け「Ryzen 5000」シリーズの詳細を明らかに。処理性能と消費電力の改善でゲームノートPCへの採用が拡大
 既報のとおり,2021年1月12日,AMDは,Zen 3マイクロアーキテクチャを採用するノートPC向け新型プロセッサ「Ryzen 5000 Series Mobile Processor(以下,Ryzen Mobile 5000)シリーズを発表した。
 ただ,1月12日の時点で明らかになったのは,Ryzen Mobile 5000シリーズの主な製品と特徴が公表された程度であり,詳細な製品ラインナップは明らかにしていなかった。そのRyzen Mobile 5000シリーズに関するもう少し詳しい情報が明らかにされたので,その概要をまとめてみたい。

末尾UシリーズはZen 3とZen 2が混在


 まずは,Ryzen Mobile 5000シリーズのラインナップから見ておきたい。ノートPC向けのRyzenには現在,モデルナンバーの末尾が「U」の薄型ノートPC向けと,末尾「H」の高性能ノートPC向けがラインナップされている。
Ryzen Mobile 5000シリーズのラインナップ
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 Ryzen Mobile 5000シリーズでは,Hシリーズの高性能ノートPC向け製品に,より高クロック動作を狙った末尾「HX」が追加しているのが,ひとつの特徴となっている。
 Hシリーズには,TDP 45Wのベースモデルの「H」に加えて,TDP 35Wのやや低消費電力向け「HS」と,高クロックを狙ってTDPが45W以上となる「HX」という3種類が用意された。HXのTDP 45W「以上」とは,ノートPCを設計するPCメーカーが,筐体の冷却性能などに合わせてカスタマイズが可能なことを示しており,冷却性能に優れた製品や,大消費電力を許容できる製品であれば,さらに性能が上がるというわけだ。

 HシリーズはすべてZen 3アーキテクチャだが,薄型ノートPC向けの末尾UシリーズはZen 3アーキテクチャとZen 2アーキテクチャが混在している点には注意が必要だろう。Zen 3アーキテクチャの製品は「Ryzen 7 5800U」と「Ryzen 5 5600U」,「Ryzen 3 5400U」の3製品で,それ以外の3製品はZen 2アーキテクチャだ。

 末尾Uシリーズの特徴は,「SMT」(Simultaneous Multi-Threading,同期マルチスレッディング)をサポートしない製品がなくなったことにある。現行のRyzen Mobile 4000世代には,SMTをサポートしない8コア8スレッド対応の「Ryzen 7 4700U」などがあった。Ryzen Mobile 5000シリーズでは,全製品がSMT対応となったので,マルチスレッド性能が向上したことになる。

 なお,AMDによると,Ryzen Mobile 5000シリーズは前世代と完全なピン互換を実現しているそうだ。そのため,PCメーカーは前世代の設計をそのまま流用することが可能とのこと。「Ryzen Mobile 5000シリーズ搭載製品は,(発表から)それほど間を置かずに多数登場する」とAMDはアピールしている。

 ゲーマー向けの中心となるHシリーズを搭載するノートPCは,従来よりはるかに多い19機種が登場すると,AMDは予告している。従来になかったHXシリーズが追加された効果などにより,採用が増えたそうだ。ゲーマーとっても,選択肢が増えることは歓迎できるだろう。

Ryzen Mobile 5000のHシリーズを搭載するゲーマー向けPCは,一気に増えて19機種が登場予定という
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Ryzen Mobile 5000のUシリーズを搭載する薄型ノートPCは,12機種が登場する予定だそうだ
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マルチスレッド性能やバッテリー性能を大幅に引き上げるRyzen Mobile 5000


 AMDはRyzen Mobile 5000シリーズについて,「前世代や競合のノートPC向けCPUに対してバッテリー駆動時間を伸ばすとともに,シングルスレッド性能およびマルチスレッド性能を大幅に引き上げる」とアピールしている。
シングルスレッド性能は,「Ryzen 9 4900H」に対して「Ryzen 9 5980H」が+23%,マルチスレッド性能は競合Tiger Lake世代の「Core i7-1185G7」に対し「Ryzen 9 5900HX」が+108%上回るというスライド。なおかつ「Ryzen 7 5800U」のバッテリー駆動時間は,前世代の「Ryzen 7 4800U」よりも最大2時間長いという
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 まず性能に関してだが,これにはZen 2アーキテクチャからZen 3アーキテクチャへの刷新が大きく効いている。Ryzen Desktop 5000プロセッサ登場時でも説明したが,Zen 3アーキテクチャでは,容量16MBのL3キャッシュを各CPUコアが共有する形に変更された。これにより,L3キャッシュがZen 2アーキテクチャから倍増したのに加えて,従来よりも大幅に内部遅延が低減したことで,性能が大きく向上している。
スライド左側の上がZen 2,下がZen 3の構造図。Zen 2までは,4基のCPUコアが容量4MBのL3キャッシュを共有している構成だったが,Zen 3アーキテクチャは8基のCPUコアで容量16MBのL3キャッシュを共有している
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 そのほかにもRyzen Mobile 5000シリーズでは,メモリコントローラが強化されている。Zen 2アーキテクチャよりも低消費電力化を実現したのに加えて,消費電力の低いLPDDR4xメモリに対応しているのだ。
 LPDDR4xメモリは,すでにスマートフォンなどで採用実績があるので,ご存知の読者も多いだろう。LPDDR4では,1ピンあたり最大3.2Gbpsのメモリバス帯域幅を持つが,LPDDR4xでは消費電力を引き下げながら最大4.266Gbpsと,33%の帯域幅向上を実現した。
Ryzen Mobile 5000シリーズにおけるメモリコントローラ関連の強化点を示したスライド。従来より33%も性能が向上して,なおかつ消費電力が低いLPDDR4xに対応した
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 これらの効果によりシングルスレッド性能,マルチスレッド性能ともに前世代より大幅に向上したというわけだ。

 以下に示す2枚のスライドは,3Dグラフィックスレンダリングベンチマークアプリ「CINEBENCH」を使って,シングルスレッドおよびマルチスレッド性能を前世代と比較したものだ。ここで興味深いのは,前世代の「Ryzen 5 4500U」や「Ryzen 7 4700U」より,「Ryzen 5 5500U」や「Ryzen 7 5700U」のシングルスレッド性能がやや向上している点だろうか。いずれもZen 2アーキテクチャの製品だが,AMDによると,同じZen 2でもRyzen Mobile 5000シリーズでは,若干の改良を施しているためにマルチスレッド性能だけでなくシングルスレッド性能もわずかに向上しているのだという。

Ryzen Mobile 5000シリーズとRyzen Mobile 4000シリーズのシングルスレッド(上),およびマルチスレッド(下)性能を比較したスライド
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 Ryzen Mobile 5000シリーズでは,CPUだけでなく統合GPUの性能も向上している。先の製品ラインナップスライドで気付いた人もいるだろうが,統合GPUの演算ユニット数は,前世代とさほど変わらないものの,Ryzen Mobile 5000シリーズではGPUクロックが最大2.1GHzに引き上げられたのだ。Ryzen Mobile 4000世代は,最大でもGPUクロックが1.75GHzだったので,演算ユニット数が同等でも前世代より高いグラフィックス性能が期待できる。
「Ryzen 5 5600U」の統合GPUを使ったゲーム性能を,Intelの「Core i5-1135G7」と比較したスライド。「World of Warcraft」と「Fortnite」を除き,Ryzen 5 5600Uのほうがやや高いという結果になっている。逆に言えば,Tiger Lake世代のGPU性能もかなり高いと言えなくもない
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 消費電力に関する強化点としては,先述のようにメモリコントローラの低消費電力化が実現したのに加えて,Ryzen Mobile 5000シリーズでは,内蔵レギュレータの改良により,CPUコアごとに異なるコア電圧で動作できるようになっているのがポイントである。これが高い性能と低消費電力を両立する大きな鍵になっているそうだ。
Ryzen Mobile 5000シリーズでは,コアごとに負荷に応じた適切な動作クロックとコア電圧で動作するようになった
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 こうしたきめ細かな電力制御により,従来よりも長いバッテリー駆動時間を実現しているというのがRyzen Mobile 5000シリーズの特徴であるとAMDはアピールしているわけだ。

 以上,今回AMDが明らかにしたRyzen Mobile 5000シリーズの概要をまとめてみたが,先述のようにRyzen Mobile 5000シリーズを搭載する製品は間を置かずに登場するそうだ。とくにゲーマー向けのノートPCが多数,登場するようなので,4Gamerの読者は注目しておくといいのではないかと思う。

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